前回、エンジンの分解終了し摩耗度合いを見るために清掃作業に突入する。新たなる戦いの始まりである。エンジンカーボン落とし等を使用し格闘すること数日、ローター及びハウジング等きれいな状態になり摩耗度合いをチェックすることに。各パーツとも状態は悪くないので今回は再利用しアペックスシールなどガスケット関係の交換作業を実施することに。すべての準備を整えいよいよエンジンのくみ上げに取り掛かる。

まずはFローター・ハウジングの組付けを行う。基本的にロータリーは前後ともほぼ同じ構造なので組付け作業は同じ。しかしここで気を緩め組付けを失敗すると最悪、再分解となるのでより集中し作業を進める。

前後ローター・ハウジングを取り付け。順番に従いボルトを締める。このときアペックスシールが分界する音(アペックスシールは3分割康造)パキパキ音が聞こえると正常に組みあがっている証拠になるボルトを手順にしたがい締め付けるとパキ!パキ!と音。正常に組み上げっていることが確認出来てひとまず安心。次の工程に進んでいく。

オイルパン・フライホールエンジンマウントを取り付けショートエンジンが組みあがる。これより周辺補器類の取り付けに取り掛かる。折返し地点だ。

エンジンを下ろした時と同じ状態になる。ここまでくればいよいよ車両に搭載である。ラストスパート!!

車両搭載完了!!これよりトランスミッション取り付け等復元作業に入る。もう一息だ!!

すべてのパーツを取り付けいよいよエンジン始動である。この瞬間が最も緊張する瞬間である。入念に各部をチェックしエンジンスタート。思いのほかすんなりとエンジンが掛かりかえって拍子抜けするぐらいであった。かかったエンジンは最初こそアイドリングにばらつきがあったものの(エンジンを組付けるときの組付けオイルの影響である)徐々に安定感を取り戻し調子よくアイドリングするようになった。いよいよテスト走行を実施。結果は良好である。あとは各部最終チェックをし、お客様に引き渡すだけである。そして12月某日、無事、お客様の元へ。お客様の喜ぶ笑顔を見る瞬間が本当の意味でも報われる瞬間である。これで安心して新年を迎えられる思いに安堵するとともに少しの寂しさをかみしめながらお客様をお見送りしこの戦いは幕を閉じたのであった。
皆様にも良き新年が訪れる様心からお祈り申し上げます。